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「起立性調節障害」の理解と子どもの未来

起立性調節障害の講演会に

参加してきました。

 

朝、起きられない。

めまい、立ちくらみ。

頭痛、吐き気、倦怠感。

学校に行きたいけど行けない。

 

小学生の5%、

中学生に至っては、

5人に1人に起きている症状です。

推定患者数は、アトピー性皮膚炎の

約2倍だそうです。

そのわりに認知度が低いです。

 

講演会では、20年ほど起立性の

子を診てきた小児科医、下北先生の講演と、

起立性調節障害の経験者である

若者3人の話を聞くことができました。

 

若者たちの報告が圧巻でした。

 

3人の若者たちは、

大勢の人の前で、心打たれる

話を淡々としてくれました。

 


 

選ぶことばが優しいこと、

伝えてくる内容が

悟りに近い人のようなことに

驚きました。

 

ひとりが話しました。

「わたしたち起立性の子は

自分との向き合いだけは他の子に

比べて圧倒的にしています」

 

だから悟りに近いところに

いるのだと思いました。

 

自分と向き合うことなしに、

自分を理解することは

できないと思います。

 

自分を知ることなしに、

自分を大事にすることは

できないと思います。

 

自分を大切にすることなしに、

他の人にやさしくすることは

できないと思います。

 

現代は、効率優先、経済優先で

止まることも、考えることも

許されないような雰囲気があります。

 

こうあるべきを互いに押し付け

互いに監視しあいながら、

全員で突っ走っているような

状態だと思います。

 

暴走列車の群れを止めるべく、

子どもたちが十字架を

背負ってくれた。

 

子どもが止まることで、

暴走する大人たちを止めてくれている。

 

そんな風に思いました。

 


 

また別の若者が言いました。

 

「しんどいけど、つらいけど、

寝ているだけだと

何も始まらないと思った。

 

優しくなりたいと思った。

優しくなるには自立しないと

いけないと思った。

 

でも僕は、学校に行ってないから

何もできない。だからまず、

大学に入ろうと思った」

 

起立性調節障害のしんどい症状を

何かに例えて表現するなら、

 

・バットで殴られるような頭痛

・20kgの錘を背負っているようなだるさ

・金縛り状態で全身にダンベルが乗った感じ

・10kmマラソンを走ったくらいのしんどさ

・ジェットコースターに4回乗るくらいの吐き気

・目の前が真っ暗になり地震のようなめまい

・脳から血が全部なくなったようなめまい

・徹夜をした時のような強い眠気

  

などだそうです。

これは、講演をしてくださった下北先生が、

受診中の患者さんにとったアンケートの回答です。

 

こんな日々を過ごしている若者が、

「優しくなりたいと思った」

こと。わたしだったら、

もう死にたいと思う気がするのに。

 

なんなんだろう、今起きていることは。

 

 

今の社会のままでは未来を描けない。

変えていかざるをえない。

変わっていかざるをえない。

 

今の社会状況と、若者たちに起きていることは、

深く関係していると思いました。

 

子どもが十字架を背負う。

苦しみの中で、本当に大切なことは

何かを見出してゆく。

 

10代、20代という若さで

親への感謝を表すこどもたち。

愛について理解してゆくこどもたち。

 

彼らが痛みや苦しみを担うことで、

気づかせてもらっているのは

親たちでした。大人たちでした。

 

ひとりひとりは違っていていい。

みんなと同じでなくていい。

その人のペースで生きていい。

 

存在がそのまま受け入れられ、

居場所があり、

無条件に愛されること。

 

生まれたての赤子に

ああしろこうしろと言わないように、

じっと抱きしめ世話をする。

 

この子の未来を信じ夢みて

ゆっくりと世話をする。

 

ひとりの子が、

「赤ちゃんである自分を

胸にじっと抱きしめる。

その未来には希望が見える。

 

できないことはできない

ままでも全然いい。

今の状況をしっかり味わう。

その先にしか未来はない」

 

と話してくれました。

 

外野からいろんな雑音が

飛んでくるけど、

赤ちゃんである自分を抱きしめて、

自分で守ってあげないと

いけないんだよと

伝えてくれました。

 


 

わたしは整体師として、

からだをゆるめることで

自律神経を整え、

彼らを改善させてあげられる

だろうと思って

講演会に参加しました。

 

それはそれでひとつの

方法かもしれない、とは思います。

 

でも今回の講演会で

こどもたちが話すことを聞いて、

もっともっと大切なことが

起きていると感じざるを

得ませんでした。

 

日本の未来、人類の存続にまで

関わることのような気がしました。

 

 

名張市にある、土の香工房ハラペコあおむしでの

施術を始めようと思っています。

 

起立性調節障害の子どもたちに出会えればという

思いで、この場所でやりたいと思いました。

 

講演を聞いた今も、その想いは変わりません。

 

でもわたしの中で大きく変わったことが

あります。施術そのものは、

ある意味ではどちらでもよい、

と思うようになったことです。

 

施術を受けると、からだは

楽になるだろうとは思います。

でも、早くよくなるためにぜひ受けなさい

ということではないんだなと思いました。

 

やった方がいいこともできないくらい

子どもたちが日々、しんどい中で

過ごしているとわかりました。

 

薬を飲もうと思っても飲めないくらいだそうです。

元気な人には想像もできません。

 

施術を受けにおいでというよりも、

いずれ、ハラペコあおむしにわたしが

施術に行く時間が、

起立性調節障害と共にある家族の

集う場になるのが

よさそうだなと思いました。

 

子どもたちは自分との向き合いを重ねながら、

この状況に耐え、乗り越えていく力を持っていそうです。

 

親たちは、支え合いながら、励まし合いながら、

状況を受け入れ、親自身が変わっていく

時間を過ごしていかれているようです。

 

施術よりも居場所になることを意識して。

でもまずは出会うことを目標に、

ハラペコあおむしでの施術について

考えて行きたいと思いました。

 

 * * * * *

 

今回の講演会の主催者であり、

起立性調節障害の家族を支えている団体です。

 

ピアネットAlice

https://pianetalice.mogmog.co/